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【ホーム便り】息を引き取る アライブ浜田山

グリーフケアのプロの方からお聞きしました。お看取りとは言わず息を引き取ると思って仕事をしていると。友人、知人、家族、が本人の思いや心を引き取るのだと。そうして次の人たちも生きていくのだと。

アライブ浜田山では、ご自分の暮らし方ややりたいことを続けていただきたい。そのために40人のご入居者に40の価値観、やりたいことを最期まで続けていただきたいとの思いがあります。それは何もお話になれなくなった方でもスタッフはご家族から聞いたりその方のこれまでの人生を遡ったりして探っていきます。

ときに、「死ぬためにここに来た」と言われる方もいらっしゃいますが、スタッフは皆「その時まで楽しく快適に希望を持って暮らして生き抜いていただきたい、私たちは気持ちよく楽しく生きていただくお手伝いをします」とお伝えします。最期の息を引き取るその瞬間まで。

 

だんだんとお食事が摂れなくなってきたら、看護スタッフや介護スタッフ、医師が家族とお話をします。

ご家族には〇〇様にとって何が一番いいのか考えていただきます。残された時間を家族として友人としてどう過ごしてほしいか、何度もお尋ねします。ご家族の気持ちは揺れ動きます。無駄な延命はしないでほしいとおっしゃっていても、その姿をみて「本当にこれでよかったのか」ずっと悩みます。ホーム長もケアマネジャーも看護スタッフも、介護士もみなその気持ちに寄り添います。何度もお話をします。

「馴染みのホームで痛みや不安をとって最期まで母、父らしく暮らしてほしい」と選択された場合には、その家族の思いを形にして毎日、毎時、ご入居者にスタッフはかかわり続けます。

旅立ちが近づくにつれて、自分の気持ちややってほしいことを伝えられなくなってくることがあります。スタッフは表情や筋肉のこわばりをみて痛みや不安がないか、一生懸命に考えます。

やさしくゆっくりと「痛くないですか?」膝の位置は?肘はどこかを押していないか?顔の向きは息苦しくないか?身体に赤みはできていないか?お熱はないか?身体や表情から送られる信号を受け取ります。

ご入居者の心が伝わります。

ぬくぬくぬく・・すーすーすー・・・

ああだれか、心配そうに私を覗き込んでる。もうね、目を開けるのも大変なの。

あら、だれか懐かしい人がそばにいる。


おからだを痛みが無いように向きを変え、さびしくないように手を握り、髪を撫で、お顔に触れる。ご入居者の身体の力がふっとゆるむ。ほっと深い息をする。気持ちがいいようなお好きな音楽を居室担当者が選んでかける。イベントや音楽の会のときには、お部屋に届くように扉を開ける。調子がいい時にはお好きな食べ物を用意して口に運ぶ。すきなコーヒーの香りをかいでいただく、見つめる壁がさびしくないように家族やお庭の写真を大きくして張る、お庭の花を毎日見えるところにそっといける・・

 

穏やかに息を引き取ったあとのご家族の言葉

「こんなにきれいな顔で。生きているみたい。うれしいです。皆さんにおくっていただけて」

「やさしい、大好きな母でした。最期まで一緒にいれて、見送ることができて、本当によかった。病院じゃなくて本当に良かった」

「一緒に私が作ったジャムを一緒に食べて、まだまだねみたいな顔をしていたんです。今までで一番多くの濃密な時間が持てました。みなさんありがとう」

「まだあったかい。わらっているような顔ですね。こんなに良い時間を最期までつくってくれて、やさしい父です。ここを選んで本当に良かった」

「病院で父を看取った母はぜったいに自分は病院ではいやだと。母が思った以上に最高だったと思います」

様子をみていたご入居者は笑顔で

「私の時も絶対にこうしてね。約束よ」

お部屋で、スタッフの気持ちをこめた身支度を整え、息を引き受けた方々に見送られます。

お見送りは当日出勤の全スタッフ。厨房も、お掃除の方もお洗濯の方も皆でお送りします。

ご家族によっては最後に振り返り、スタッフに言葉をかけてくださいます。思い出を話しているうちに絶句して・・楽しい思い出ができました。ここを選んで本当に良かったと。居室には笑顔の写真と好きだった御飲物、お花。家族の了解をいただいて、お部屋の片づけが住むまでスタッフがお部屋に毎日飾り手を合わせます。ひとりひとりに思い出があります。掃除の方も厨房の方も。皆、「私にこう言ってくれた」「こんな冗談をおっしゃった」など思い出を胸に手を合わせしっかりと息を引き受けます。

ホームで息を引き取られたご家族や知人の方から、数年後にお電話をいただくことがあります。「自分が入りたいと思って」「友人にすすめたいからパンフレット送って」「紹介しておいたよ。見学に行くよ」力がわいてきます。ありがとうございます。

介護や看護の仕事をしていると、時に燃え尽き、時にあきらめや無常観に心が痛むことがあります。しかし私たちは、ご入居者の息を引き取りながら、もっともっと良いサービスができる人間になれるよう成長していきます。今のご入居者にご自分らしく生き抜いていただけるお手伝いをしていこうと思いを込めます。