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名前のない後悔

2026年2月18日 

平素よりアライブ目白の運営に、温かいご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
ホーム長の柳町です。

この仕事を続けていると、
ときどき理由のはっきりしない引っかかりが、心の奥に残ることがあります。

失敗と呼ぶには曖昧で、
後悔と名付けるには遅すぎる。
けれど確かに、消えずに残っているもの。

私はそれを、
「名前のない後悔」と呼んでいます。

これは、アライブ目白に来る前、
私が別の職場で働いていた頃の話です。

まだ管理者になる前のことでした。

あるお客様のケアについて、私たちは時間をかけて話し合いました。

ご本人は、
「少しでいいから、ひとりで外に出かけたい」
そう話されました。

強い口調ではありませんでした。
訴えるようでも、迫るようでもない。
ただ、日常の延長にある願いとして、静かに口にされた言葉でした。

けれど今思えば、
あの言葉の中心にあったのは「外に出ること」ではなく、
「ひとりで」という部分だったのかもしれません。

ひとりで歩く。
ひとりで選ぶ。
ひとりで決める。

誰にも迷惑をかけず、誰にも気を遣わず、
ただ自分の意志で、世界と繋がっていたい。

たったそれだけのことが、
年齢を重ねるほど、難しくなっていく。

そして、奪われるのは突然ではなく、
少しずつ、少しずつ、
気づかれないまま削られていくのだと思います。

一方で、私たちの手元には、
転倒リスク、体調の波、既往歴、ご家族の想い。
判断材料は十分に揃っていました。

会議は落ち着いたものでした。
誰かが感情的に反対することもなく、
誰かが強く背中を押すこともない。

だからこそ、結論は自然に一つにまとまりました。

「今回は見送ったほうがいい」

専門職としては妥当で、
責任の所在も明確な判断だったと思います。

その場で異論を唱える人はいませんでした。
私自身も、首を縦に振っていました。

ただ、会議が終わり、
記録を終え、閉じたあとに、
ふと、あの言葉が頭に浮かびました。

「少しでいいから、ひとりで外に出かけたい」

それが叶わなかったあと、
取り返しのつかない出来事が起きたわけではありません。
大きな事故も、劇的な結末もありませんでした。

だからこそ、その判断は
「間違いだった」と言い切れないまま、
今も私の中に残っています。

本当に、他の選択肢はなかったのか。
“ひとりで”という言葉に、もっと耳を傾ける余地はなかったのか。

たとえば、
ほんの数分だけでも、
ほんの数歩だけでも、
「ひとりの時間」を守る方法はなかったのか。

付き添いの距離を工夫する。
見守りの形を変える。
本人が「ひとりだ」と感じられる環境をつくる。

安全か危険か、ではなく、
その間にある“暮らし”を、もっと丁寧に扱うことができたのではないか。

答えは出ません。
ただ、その問いだけが、静かに残り続けています。

介護の現場では、
こうした“正解のない判断”が、日々積み重なっていきます。

安全を取れば、尊厳が遠のくことがある。
尊厳を守ろうとすれば、ふいにリスクが顔を出す。

そして多くの場合、
その判断の結果は、すぐには現れません。

「何も起きなかった」という事実だけが残り、
判断の是非は、誰にも触れられないまま、時間の底に沈んでいく。

けれど、沈んでいくのは出来事だけで、
感覚だけは、残ることがあります。

そのお客様は、ほどなくして体調を崩され、
最期は病院で、静かに旅立たれました。

最期まで大きな混乱はなく、
ご家族に見守られながら、穏やかな時間を過ごされたと聞いています。

そして後日、ご家族から一言、
「本当にありがとうございました」
そう言葉をいただきました。

その言葉に救われた気持ちになったのは、確かです。
私たちの関わりが、間違いではなかったのだと。

けれど同時に、
あの願いだけは、別の場所に残り続けました。

感謝されたから消えるものではなく、
旅立たれたから終わるものでもない。

むしろ、そこでようやく
「何も起きなかった判断」の輪郭が、
自分の中に浮かび上がってくることがあります。

介護の仕事は、
誰かの生活を支える仕事です。

けれど時に、
支えるはずの手が、
その人の自由を少しずつ奪ってしまうこともある。

奪うつもりなど、誰にもありません。
むしろ守りたいからこそ、
慎重になり、確実な選択を取る。

その結果、
「生きるための安全」は守れても、
「生きている実感」が置き去りになる瞬間がある。

それが、怖いのだと思います。

それ以来、判断を急ぎそうになるたび、
私は一度、立ち止まるようになりました。

「この判断は、誰の不安を減らそうとしているのか」
「その不安は、ご本人のものか、私たちのものか」

すぐに答えが出なくても構いません。
その問いを、チームで共有すること自体に意味があると、今は考えています。

一人で決め切らないこと。
結論を急がないこと。
迷いを、迷いのまま置いておくこと。

迷いは弱さではなく、
生活を預かる仕事に携わる者が、
本来引き受けるべき責任だと思うからです。
そして、それが
お客様の暮らしに向き合うということなのだと思っています。

答えよりも問いを手放さずにいる介護が、
アライブ目白にはあります。

そして、その問いは、立ち止まり続けるためのものではありません。
その方の願いに、もう一歩近づくためのものです。

今日も私たちは、
小さな迷いを抱えながら、
暮らしのそばに立っています。

皆さまとのご縁が、静かに、けれど確かに重なる日を、心よりお待ちしております。

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