2025年9月9日
アライブ世田谷中町ホーム長の厚地です。
介護の現場に立っていると、ご入居者との出会いが何度も私の心を揺さぶり、考え方を変えてくれます。その中でも、Y様との出来事は私に「介護の本当の力」を改めて教えてくれました。
Y様は誤嚥性肺炎でご入院され、治療によって病状は安定したものの、口からの食事は難しいと判断されました。ご本人は自然な最期を望まれ、ご家族も延命のために管をつけることは望まれませんでした。ホームに戻られたとき、私の心には「できる限り苦しみなく穏やかな最期を」という思いがありました。
ところが、中町のスタッフは違いました。ご様子を見て、「きっとまた元気になれる」と信じて声をかけ、翌日から少しずつ起きていただく工夫を始めたのです。さらに看護師と相談しながら食べやすいお食事をお勧めすると、Y様はしっかりと召し上がってくださいました。その瞬間、スタッフ全員が顔を見合わせ「やった!」と歓声を上げたことを、今も鮮明に覚えています。
そこから奇跡のような日々が始まりました。Y様は少しずつ力を取り戻され、今では大好きなお寿司を週に二度召し上がり、時には外出もできるほどに回復されました。お看取りを覚悟していたご家族も目を潤ませ、「本当に驚きました。信じられないくらい嬉しいです」と喜ばれる姿がありました。
介護は決して「最期を見守る」だけではありません。ご本人の力を信じ、ご家族と共に歩み、職員が一丸となって取り組むことで、想像を超える未来が開けることがあります。今回の経験は、私自身の考えを大きく変えました。
アライブ世田谷中町のスタッフは、ご入居者の可能性を最後まで信じ続けます。そしてその信念が、ご入居者の人生に新しい一ページを生み出すのだと、Y様の笑顔が教えてくれました。
「介護のチカラ」それは病気や年齢に線を引くことなく、その人の中に眠る力を信じ、引き出すことだと思います。私自身もまだまだ学びの途中ですが、これからも一生、生徒の気持ちで、ご入居者と向き合い続けてまいります。
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