2025年11月19日
アライブ世田谷下馬ホーム長の柴田です。
長い夏が過ぎ、季節はすっかり秋めいてまいりました。日々、ご入居者やご家族と過ごす中で、改めて感謝の気持ちを抱いております。
介護の現場にいると、決まり切ったかたちの支援だけでは寄り添いきれない瞬間に出会います。むしろ“寄り道”の中にこそ、ご入居者やご家族にとって大切な時間が宿るのだと強く感じます。
以前、長期入院を経てホームへご入居された方をお迎えした際のことです。ご家族の願いで一度ご自宅に立ち寄り、いつものソファで愛猫と過ごしてからホームへご案内しました。
決して安堵できるご病状ではありませんでしたが、私と副ホーム長は「少しでも気持ちを和らげたい」との思いで寄り道を選びました。庭先でご家族と一緒に撮った写真は、今も心に残る大切な一枚です。
また、結婚式にご参列されたご入居者をお迎えした帰り道では、学生時代の思い出話で車内が和やかに。
通っていた女学院が近かったことから「少し寄ってみましょうか」と声をかけ、校内をゆっくりと車で巡りました。懐かしい校舎やテニスコートを見つめる眼差しには、当時の時間が重なり合うような輝きがありました。
こうした特別な外出に限らず、日常の中にも“寄り道ケア”は息づいています。歩行リハビリの途中でアクアリウムに立ち寄ること。リビングを遠回りしてご入居者同士の挨拶を支援すること。お抹茶を点ててお部屋にお届けすること。誰かがリハビリマシンを使っていると聞いて、皆で集まり応援すること。定時以外に様子を見に伺うこと。どれも小さな寄り道ですが、そのたびに笑顔や笑い声が広がります。
思い返せば入社当初、看護課長から「介護の“介”は“お節介”のこと」「目・手・気・心の“四つの配り”を大切に」「線ではなく円を描くように動くこと」と教わりました。今にして思えば、それこそが“寄り道ケア”の根っこだったのかもしれません。
これからも、ちょっとしたお節介を大切にしながら、寄り道の中にある価値を育み伝えてまいります。そうした積み重ねこそが、ご入居者に喜びを届けるだけでなく、私たち自身が人として磨かれていく道だと信じています。




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