2025年11月25日
念願の内定。
大きな期待をもち、入職したのが有料老人ホームでした。
私は創設2年目の新しいホームに着任いたしました。
当時の業界は、様々な民間他業態が介護事業に参入しておりましたので、経営方針や理念も多様で、玉石混交な状態でした。
さて、私がこの会社に入職を決めた最大の理由は『会社理念』への共感でした。
しかし、残念ながら、その期待は早くも1か月で失望へと打ちひしがれることになりました。
「これほどまでに理念が浸透していない現場をどうにかしなければならない」
ここで、過去の経験が私を押し上げてくれました。つまり、この課題を解決する覚悟も同時に決まったのです。
まず現場で驚いたのは、配属されたホームの責任者がケアに無関心である事実です。
会議中、
「私は介護のことはわからないから勝手に決めて。」
残念な発言をトップが職員の前で平然としており…
「なぜホーム長をしているのか?」
それがとても気になりました。
聞くと、
「自分の仕事はお客様に入居してもらうことだから、後のこと(ケアのこと)は私はよくわからないから現場で勝手に決めてね」
と話されておりました…
その方は、新規ホームの立ち上げ経験も多く、ホーム長としてはベテランでした。
入居相談や見学の対応はとても素晴らしく、例に漏れず、配属されたそのホームも早期満室を達成したホームでした。
多店舗展開している会社であったため、数字(売り上げや入居率)のみが評価されるため、その方は会社から絶大な評価を得ていたことも状況を難しくしていました。
事実、ホーム長が集まる経営会議では、入居率や経費管理の話題に終始しておりました。
(数字は事業継続のために重要であることは理解しております。)
しかし、ケアの質や介護の在り方、ホームの課題や問題点の議論は何一つ上がっておらず、議論もされませんでした。
会社やホーム長の方針がそうであっても、現場のケアが素晴らしければ良かったのですが、残念ながら、現場のケアも「レベルが低い」状況でした。
あらゆるところに分断が起きている会社であると理解しました。
そして、現場も私が実習生の時代や新卒で特別養護老人ホームに入職した時に見てきた旧態依然としたケアが行われておりました…。
当然、その会社では、介護職の育成に向けた、具体的な介護、理念研修はなされておりませんでした。
そのため、新規施設が立ち上がる度に、新しいホーム長が送り込まれ、中途採用の介護職が集められて、各々が前職の経験や背景から、自分が正しいと思うケアをバラバラに実施していくしかない現場が常態化していました。
従い、課題をまとめ上げる介護リーダーは全く育っておらず…
そのような背景もあり、私のミッションは、副ホーム長として現場に対して、理念やケア方法、介護の考え方、価値基準について技術的な指導を行う事でした。
当初は、職員の多くから私の言行に対して、不満や抵抗はありましたが、誠心誠意努めることで、少しずつ受け入れていただけるようになりました。そして、次第に新時代を向いたケアができるようになっていきました。
特別養護老人ホーム時代は、研修体系や職員育成の機会が多くあり、私は恵まれた環境で育ててもらったのだと、痛感しました。
会社に教育環境があることはありがたい事で、当たり前ではないという事実が、その先の私の思考を変えていきました。




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