2025年12月21日
アライブ世田谷下馬のホーム長、柴田です。
残暑の頃よりお便りを綴り始めてから、季節は移ろい、年の瀬を迎えました。
私たちアライブ世田谷下馬は、ご入居者お一人おひとりの最期の瞬間まで、寄り添う介護に真心を込めています。
お看取り。
すべての方との出会いがあれば、必ずお別れの時も訪れます。
先日、今年6月にご逝去されたA様のご主人から、ホームに一本のお電話をいただきました。
「学芸大学の信号待ちで、スタッフの○○さんに偶然会って。改めて、ホームの皆さんに感謝を伝えたい気持ちが強くなりました」
A様が旅立たれた後より、
「落ち着いたら、皆さんと一席を設けたい」
と仰っていたご主人。
そのお気持ちは、私たちも同じでした。
思い立ったら、想いをそのままに動く。
ご主人と日程を相談し、スタッフに声を掛け、少しずつ準備を進めていきました。
当日は、互いに食事や飲み物、スイーツ、そしてA様のお写真を持ち寄り、ご主人とスタッフあわせて10名でテーブルを囲み、“偲ぶ会”を行いました。
・難病を抱え、ホーム入居に至ったいきさつ
・旅立ち前日までのご本人の過ごし方
・お二人の馴れ初めや、教会との深いご縁
・車椅子やボイスコールなど福祉用具を選んだ時間
・GW連休前の入院と、2日後の緊急退院
・3階テラスを彩ったチューリップ
食事をしながら、A様ご夫妻と過ごした日々を懐かしく振り返りました。
「実は……お部屋からお二人の言い合いが聞こえて、訪室を躊躇ったことがありました」
今だからこそ笑って話せる、そんなスタッフの一言もありました。
『最後の入退院は、大脱走劇だったね』
『妻の最期の心配事は、いつも私なんです』
ご主人の言葉に、場の空気がふっと和らぎました。
私自身の中にも、お二人との思い出がたくさんあります。
桜が咲く頃、教会へお連れしたときのご家族のお姿。
つつじが咲く頃、退院の“大脱走”を迎えに行った際、バックミラーに映ったA様の笑顔。
薔薇が咲く頃、父の日のサプライズとして、ご主人へ花束を贈られた時のお二人の表情。
どれも、今も鮮やかに心に残っています。
偲ぶ会を終え、ご主人より賜ったメッセージの一部をご紹介します。
(※ご本人のご了承をいただいております)
―――――――――
妻を偲ぶ会を開催いただき、
あんなに多くの方に一堂に会し、御礼を申し上げることができるとは思っていませんでした。
皆さんとお目にかかり、お世話になった4ヶ月が思い出され、
懐かしく、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
一人ひとりが妻とあたたかく接し、
チームで愛を持って妻を支えていただいたこと、
本当に妻は幸せだったと思います。
難病の妻に、もっと優しくできたのではと悔いは残りますが、
皆様のおかげで、妻を安らかに天国へ送り出すことができました。
ありがとうございました。
また次の機会があることを、心より願っております。
―――――――――
必ず迎える、ホームでのお別れ。
けれど、こうして時を経て再び集い、語り合える関係があること。
それは、尊い時間であり、私たちが大切にしてきた関わりを確かめ合う場でもありました。
A様、そしてご主人から託していただいたご縁を、私たちはこれからも大切に、守り続けてまいります。




資料請求・お問い合わせ

