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慮る心が、望みを叶えるチームケアへ

2026年7月3日 

皆様こんにちは。
アライブ世田谷中町ホーム長の厚地です。

前回は、今年度のキーワードとして掲げている「慮る(おもんぱかる)」についてお話しさせていただきました。


私自身も、この言葉と向き合いながら日々を過ごしておりますが、スタッフ一人ひとりもその意味を考え、日々の行動へとつなげてくれています。

これまでも、ご入居者のことを考えながら支援を行ってまいりました。

しかし「慮る」という言葉を学んでからは、何か行動を起こす前に、
この方にとって本当に良いことだろうか」と立ち止まって考える機会が増えました。

ご入居者へのケアを検討する際も、「これまでの関わりは適切だったのか」「今の状態はその方にとって望ましいものなのか」
といった視点で考えるようになり、少しずつではありますが、ケアの質の向上につながっていると感じています。

何より嬉しいのは、スタッフ同士の日常会話の中で「それはまさに“慮る”だね」という言葉が自然と交わされるようになったことです。

このキーワードがチームの中に浸透し始めていることを実感しています。

そんな中、ご入居者のA様(98歳・女性)との関わりを通じて、改めて「慮る」ことの大切さを学ぶ機会がありました。

A様はこれまで、ご自身でトイレへ行かれる際にバランスを崩し、転倒されることがありました。

そのため、お部屋の環境を見直しながら、できる限り安全にご自身で生活していただけるよう支援を行ってきました。

また、下肢筋力の維持を目的とした個別リハビリも実施しておりましたが、もともと心疾患をお持ちであり、主治医からは歩行を控えるよう指示を受けていました。

そのため、私たちもどのような支援が最善なのか悩み続けていました。

トイレの際には職員がお手伝いさせていただくようお願いしていましたが、A様には「できることは自分でやりたい」という強いお気持ちがあります。

結果としてお一人で移動され、尻もちをつかれることもありました。
幸い大きなお怪我には至りませんでしたが、状況は大きく変わりませんでした。

そのような中で、私たちは改めて考えました。

もちろん、お身体の状態や安全を守ることは大切です。しかし、それだけで良いのだろうか。

「A様にとって本当に良い状態とは何か」
「A様らしい生活を支えられているのか」

その問いに向き合った時、私たちはA様の「できることは自分でしたい」というお気持ちに、もっと寄り添う必要があるのではないかと考えました。

そこで娘様にもご相談させていただきました。

病気やお身体の状態への不安はあるものの、A様らしく過ごしていただくことを大切にしたいこと、
そして今後もご自身で安全に生活していただくために、身体への負担に配慮しながら下肢筋力の維持に取り組みたいことをお伝えしました。

すると娘様は、

「本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。私もどうしたら良いのか分からず、母には一人で動かないよう伝えています。
 でも、母のことを思えば、たとえ身体への負担や病気への影響があったとしても、母らしく暮らせることが一番だと思います」

と、お気持ちを聞かせてくださいました。

その後、主治医にも相談を行いました。幸い状態に大きな変化はなく、主治医も私たちの考えに共感してくださいました。

無理のない範囲であればとのご理解をいただき、改めてリハビリに取り組むこととなりました。

まだ大きな成果が見られる段階ではありませんが、転倒につながるような場面は少しずつ減ってきています。

これまでもA様らしい生活を支えたいという思いはありました。

しかし、お身体の状態を考慮するあまり、具体的な取り組みへ踏み出せずにいた部分もありました。

「慮る」という言葉を学んだからこそ、改めてA様らしく生きることに寄り添う支援を考えることができたように感じています。

もちろん、良いケアを実践するためには思いやりだけでなく、知識や技術も必要です。

そのため今年度は職員教育にも力を入れています。

先日は「水分摂取」をテーマに勉強会を開催しました。

海外人財の職員も参加し、まずは「慮る」という言葉の意味を共有した上で、水分摂取の重要性や効果について学びました。

水分が大切であることは理解していても、ただ多く摂れば良いわけではありません。
その方の身体状況に応じた適切な水分量を考えることが必要です。

これもまた、「その方にとって何が良い状態なのか」を考える「慮る」ことにつながります。

翻訳ツールなども活用しながら丁寧に説明を行ったところ、海外人財の職員からは、

「なるほど、そういうことなんですね。少しずつ“慮る”の意味が分かってきました」

という声が聞かれました。

慣れない言葉でありながらも、「慮る」という言葉を何度も口にしていた姿がとても印象的でした。

相手を思いやる「配慮」という考え方は世界共通です。

しかし、宗教や文化、価値観が異なれば、「何を配慮と感じるか」「どのように表現するか」は大きく変わります。

だからこそ、言葉や文化の違いを超えて、「慮る・配慮する・考慮する」という姿勢をどのように伝え、理解し、行動につなげていくのかが大切だと感じています。

私たち自身が学び続けることはもちろん、海外人財の仲間たちともその価値観を共有しながら、より良いケアの実現を目指してまいります。

今年度は、

慮る心が、望みを叶えるチームケアにつながる

をスローガンとして掲げています。

知識や技術の向上だけでなく、一人ひとりを深く理解し、その方らしい暮らしを支えるケアを実践できるチームを目指して取り組んでまいります。

また、今年度はもう一つ、職員全員で共有している目標があります。

以前、数回に分けてご入居者を動物園や水族館へお連れしたことがありました。皆様に大変喜んでいただき、

「昔、よく子どもたちと来たのよ」
「懐かしいね」
「また行きたいな」

と、ホームへ戻られてからも何日も楽しそうに思い出話をされていました。

今年度は、ぜひその願いを実現したいと考えています。

そのためにも、ご入居者お一人おひとりが元気に、その方らしくお過ごしいただけるよう、日々のケアを大切に積み重ねてまいります。

これからも職員一同、「慮る心」を大切にしながら、ご入居者の望みを叶えるチームケアに取り組んでまいります。

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