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『慮る(おもんぱかる)』~ご入居者・ご家族、そして仲間へ~

2026年6月22日 

皆様、こんにちは。
アライブ世田谷中町ホーム長の厚地です。

毎年、ホームでは年間計画とともに、その一年を通して大切にしたい想いをスローガンとして掲げています。

今年度のスローガンは、

「目指せ、街一番の介護屋!慮る心が、望みを叶えるチームケアにつながる」です。

そして、中町ホームでは「慮る(おもんぱかる)」を今年のキーワードとして取り組んでいます。

今回は、この「慮る」という言葉についてお話ししたいと思います。

実は私自身、このスローガンを考えるまで「慮る」という言葉を深く意識したことはありませんでした。

「慮る」とは、
相手の事情や周囲の状況をよく考え、その気持ちや背景を思いやり、より良い状態を目指して配慮すること。

単に相手を思いやるだけではなく、「どうすればその方にとってより良い時間や環境になるのか」を考え、行動する姿勢そのものだと感じています。

改めて言葉の意味を調べる中で、「配慮」や「考慮」という言葉にも同じ「慮」という文字が使われていることに気が付きました。

介護の仕事に携わる中で、「配慮」は当然大切なこととして日々スタッフにも伝えてきました。
しかし、本当にその意味を深く理解し、行動につなげられていたのか。言葉だけが一人歩きしてはいなかったか。

今回、「慮る」という言葉に出会ったことで、自分自身の姿勢を改めて見つめ直す機会となりました。

介護は人と人との仕事です。

だからこそ、「慮る心」はご入居者との信頼関係だけでなく、一緒に働く仲間との関係を築く上でも欠かせないものだと考えています。

また、アライブの行動指針である5バリューにも、この考え方はしっかりと息づいています。
私たち一人ひとりが人として成長し続けるためにも、この精神を改めて大切にしたいという想いから、今年度のスローガンに「慮る」を掲げました。

では、「慮る」を実践することで、介護はどのように変わるのでしょうか。

ホームでの日常の場面をご紹介します。

認知症のあるご入居者が、「家に帰りたい」と繰り返し話されることがあります。
特に夕方になると、そのお気持ちが強くなることがあり、「夕暮れ症候群」と呼ばれることもあります。
もちろん、ご自宅が一番安心できる場所であり、「帰りたい」と思われるお気持ちは自然なものです。

私たちは、それを単なる認知症による帰宅願望として受け止めるのではなく、
「何か不安なことがあるのではないか」
「落ち着かない理由があるのではないか」
「昔の生活を思い出されているのかもしれない」
そんな背景まで想像しながら関わることを大切にしています。

また、入浴を拒まれる方もいらっしゃいます。

介助が必要であっても、ご本人には「自分でできる」「人に見られたくない」というお気持ちや羞恥心があります。
だからこそ、安全だけを優先するのではなく、その方が安心して穏やかな気持ちで入浴できる方法を一緒に考えることが重要です。

これまでも私たちは、ご入居者お一人おひとりに寄り添うケアを実践してきました。

しかし、「慮る」を学ぶ中で、その関わりが本当に相手を理解した上での行動だったのか、
それとも慣れによる支援になってはいなかったかを改めて振り返る機会となりました。

その一例が、トイレ介助です。
便秘傾向のあるご入居者には、腹部をマッサージしながら排便を促す支援を行うことがあります。

ある日、スタッフから「本当にこの方法だけが最善なのだろうか。」という声が上がりました。
そこで、「ご本人はどのような気持ちでこの時間を過ごされているのだろう」と考えてみました。
すると、「誰かがそばにいたら落ち着かない。」「自分だったら恥ずかしい。」という意見が出ました。

私たちが目指すべきなのは、単に排便していただくことではありません。

安全を確保しながら、ご本人が安心して自然に排便できる環境を整えること。
その視点で方法を見直し、スタッフ全員で工夫を重ねた結果、少しずつ成果が現れています。

これこそが、「どうすれば相手にとってより良い状態になるのか」を考えた、「慮る」の実践だと感じています。

そして、「慮る」はご入居者だけに向けるものではありません。
共に働く仲間にも同じことが言えます。
介護は一人では成り立たない仕事です。

だからこそ、
「どうすれば気持ちよく仕事ができるか。」
「どうすれば互いに働きやすくなるか。」
そんなことを日頃から考え、お互いを思いやることが、良いチームづくりにつながります。

介護は身体的にも精神的にも負担の大きい仕事です。

自分自身の体調管理はもちろん、仲間の体調や悩みにも気を配り、支え合える関係を築いていくことが大切だと思っています。

チーム全員が「慮る心」を理解し、実践できれば、ご入居者にも仲間にも、より良い関係性が生まれます。
その積み重ねが、質の高い介護につながっていくと信じています。

私たちが本当の意味で「慮る心」を持ち、根拠ある介護をチームで実践できれば、ご入居者にとっては、作業ではなく、その方らしさに寄り添う個別ケアが実現し、本当に望まれている暮らしへ近づくことができます。

そしてスタッフにとっては、責め合う文化ではなく、助け合い、認め合える職場となり、多職種連携やコミュニケーションの質が向上し、より働きやすい環境が生まれます。

以前、ある方から、
「介護の基本の基とは、お客様の居心地の良さである。」
という言葉を教えていただきました。

私は、この言葉こそ「慮る」の本質を表していると感じています。

今年度、中町は「慮る心」を合言葉に、スタッフ一人ひとりが相手を思いやり、より良い介護を追求しながら、ご入居者にとっても、働く仲間にとっても、安心できるホームを目指してまいります。

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