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看取り介護 ~102歳の笑顔が教えてくれたこと~

2026年10月10日 

こんにちは。アライブ品川大井ホーム長の坂爪です。

深夜1時。
私の携帯が震えました。
夜勤スタッフからの、張り詰めた、だけど静かな声でした。

「A様の呼吸が浅くなっています。これからご家族にもご報告します」

9月から看取り介護に入っていたご入居者でした。
私もすぐに身支度を済ませ、ホームへと向かいました。

私が到着したときには、すでに訪問診療の先生による死亡診断が終わった後でした。
ベッドに横たわるそのお顔は、あまりにも穏やかで、まるで、少し微笑んでいるように見えました。

がんの末期でした。

普段から、おしゃべりな方ではありませんでした。
だけど、こちらが声をかけると、いつもにっこりと、それは素敵な微笑みを返してくださる、本当に優しい、上品な方でした。

夜勤スタッフに状況を聞きます。

「本当に、落ち着いたご様子でした」

深夜のホームも、とても落ち着いており、静かな中での最期だったとのことでした。

この方は、普段から「あれがしたい」「これがほしい」といった要求を、めったに口にしない方でした。

「痛い思いだけは、させたくない」

私たちは、早い段階から訪問診療の先生と密に連携し、疼痛管理を行っていきました。

苦痛を最小限に抑え、その時を迎えられたであろうことに、少しだけ救われた気がしました。

娘様とお話をさせていただきました。

娘様はご本人の穏やかな寝顔を見つめ、「本当にお世話になりました」と頭を下げられました。

私は、娘様に「看取り期のエピソード」をお話しました。

「お酒がお好きだったとお聞きしていたので、スタッフが見守る中でノンアルコールビールを少しお出ししたんです」

しっかりとご自身でコップを持たれ、3口ほど召し上がり、とても満足した表情だったこと、
また、以前ホームで行った「居酒屋」イベントのときは、みんなが歌う声に合わせて、嬉しそうに手拍子をされていたこと、をお伝えすると、娘様は少し驚いたように、

「うちで見せる顔と、外で見せる顔は、違うんですね」

娘様のその言葉を聞いたとき、
私たちが知っている「ご入居者としての姿」と、ご家族がずっと見てきた「親としての姿」は、きっと違う。

だからこそ、その人生の最終章という、大切な時間を共に過ごさせていただくことの重責を、改めて感じました。

「私たちに、何ができただろう」

スタッフたちと、たくさん話し合いました。

旅立ちは、寂しいし、とても悲しい。

だけど、娘様とこうして思い出話を紡いでいると、不思議と、温かい気持ちになりました。

9月に、102歳を迎えられたばかりでした。

この温かさは、102年という長い時間を、懸命に生きてこられた、ご本人の「ご人徳」そのものなのだと思います。

心からの敬意と、感謝を込めて。
謹んでお悔やみ申し上げます。

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